花束を持ったゾウ

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読書記録9「サークル・オブ・マジックⅣ 魔法学校再訪/氷の国の宮殿」

3巻がなかなか手に入らず、お預けにされていた冒険もついに終わりを迎えました。

サークル・オブ・マジックの最終巻

サークル・オブ・マジックⅣ 魔法学校再訪/氷の国の宮殿

が読み終わりました。

楽しかった。

寂しい。

この二言に尽きます。

honto.jp

素晴らしい仲間との冒険をランドルと一緒に、楽しむことができました。

そんな冒険の続きがもうないのかと思うと、寂しくてなりません。

もっと続きが書けそうなのに。

今は寂しいの方が強いですね。

読み終わってこんなにも喪失感を持ったのは初めてです。

 

※以下、ネタバレあり

 

今回は二つの大きな出来事があった上に、他の巻よりもややページ数が少なかったにもかかわらず、

どちらのエピソードも読み応えがありました。

 

ディアマンテの治める城付き魔法使いになったランドルは、いずれのエピソードでも少しだけ冒険を求めていました。

平和が一番とわかりつつ冒険を求める彼は生粋の旅人と言えます。

わたしだったらお城でぬくぬく過ごすのに……。笑

 

魔法学校再訪」は、登場人物を疑わなければならず、疲れてしまいました。

 

ウィルフリードことウィルは最初の印象が良かっただけに

悪魔の王子エルムに操られ、危険ことをしている場面にさしかかると、

この子は信じていいのか? と、疑いながら読まなければならず心苦しかったです。

悪魔の仕業で本当に良かったです。

プリン先生まで疑わなければならなくなった時は、「もうやめて~」という気持ちでした。

 

短い中に濃厚な内容が詰め込まれ(まさかゲイマーまでちらつくとは)、

ランドル初め、魔法学校の先生方が協力してエラムを退け、ウィルのお父さんを救う

という筋書きは最終巻にとてもふさわしいと思いました。

誰も欠けずに平穏が戻って本当に良かった!

 

氷の国の宮殿」は大好きなランドルとリースのコンビ愛が主題で、読んでいてとても楽しかったです。

氷の国というのは敵がいる場所のセオリーになりつつありますが、この作品では全ての音が奪われている

という設定が加わり、さらに不気味な雰囲気が文章から伝わってきました。

 

イカの城のシーンは本当に不気味で、読んでいるだけで寒気がしました。

冬に読むと寒さがより身に染みます。

ランドルたちが城に来たことで氷の像に変えられた人々が解放されて、頑張ったかいがあったというものです。

主人公だから仕方がありませんが、ランドルは行く先々で事件に巻き込まれて大変でしたね。

どんなに困難な状況に追い込まれても力を尽くすランドルは、作品を通して一貫していて、とても立派でした。

ひたむきなランドルだからこそ、たくさんの助けも得られるのでしょう。

 

これまでリースはどんな時もランドルのそばを離れずに、常にランドルの味方でいてくれました。

そんなリースの一番の願いである歌唱コンテストの参加に、今度はランドルが同行してくれます。

その片時も離れる気が無い二人の固い友情に、胸が熱くなりました。

お互いがいなければ今の平穏は無かった、お互いにそう思っているのでしょう。

コンテストの話をしているランドル、リース、ウォルターのやりとりは親友同士のやりとりのようでとても微笑ましかったです。

 

この旅にウォルターが同行できなかったのは残念でしたが、代わりデイゴンがでてきたのには驚きと喜びを感じました。

そして、想像通りのツンデレぶりを発揮してくれました。笑

去り際も彼らしかったですね。

 

最後の最後、本当の平穏が訪れたピクニックの場面では、パーッと目の前が開けたのを感じました。

この光景のために、ランドルたちは頑張って来たんだ、と確信しました。

ランドルの傍に、リース、ウォルター、ディアマンテ、そしてマードックがいる。

これ以上の平穏があるでしょうか。

心からお疲れさまでした、と声をかけてあげたくなりました。

そして、この壮大な冒険に連れて行ってくれてありがとう、と伝えたくなりました。

ランドル、本当にありがとう!

わたしは幸せ者です、ランドルたちの影になって見ているだけで冒険を経験できるんですから。

出会えてよかった、そう思える作品でした。

これからたくさんの人に読まれてほしいです。

 

ランドル、リース、ウォルター、サークル・オブ・マジックの全ての登場人物が

これからも本の中で、そして誰かの心の中で平穏に包まれて生き続けますように。

 

 

最後に。

個人的に、ランドルとリースが最後まで友人関係だったこともとても嬉しかったです。

私個人の見解ですが、日本の文学作品には必ずといっていいほど恋愛の要素が含まれています。

それが物語を進める上で必要か不必要かではなく、当然かのように題材の一つに盛り込まれています。

正直に言うと、わたしはその「当然」が苦手でした。

さらに言えば、

子どもの成長は恋愛の先にある、恋愛を経て主人公は大人になる、恋愛感情こそ最も強固なもの

といったメッセージが日本の文学作品には多く感じられ、それも苦手でした。

しかしこの作品に恋愛要素はほとんどなく、

時を経たり、経験を得たり、困難を乗り越えたりすることでランドルは成長していました。

そしてランドルがリースと互いを思い合う気持ちは、友愛も恋愛も超え出た大きな愛でした。

わたしにはそれがとても眩しく、尊く感じられ、読み終えた時、涙が出ました。

なんて素敵な愛情で結ばれているんだろう、と。

四巻ではあまり活躍しませんでしたが、

ランドルとリースにウォルターも加わることで力になる、

という設定にもとても心を掴まれました。

大きな愛で繋がった三人。素敵以外の言葉が見つかりません。

きっとこれからも三人は、三人で一緒に居続けてくれるでしょう。

それがこの物語の中で一番嬉しいことです。